日韓の「和」を願うオペラ
田月仙(チョン・ウォルソン)さん

 旧皇族梨本宮家出身で朝鮮王朝最後の皇太子に嫁いだ、李方子(まさこ)さん(1901〜89年)をモデルにした創作オペラ「ザ・ラストクイーン」が27日、東京の新国立劇場で上演される。「時代に翻弄(ほんろう)されながら、二つの国の『和』を願って懸命に生きた。その心の軌跡を表現したい」と主演する声楽家の田月仙(チョンウォルソン)さん(57)。
 両親は在日コリアン1世。「自分の身一つで道を切り開こう」と好きな歌の道を突き進んだ。日韓国交正常化50周年の節目に自ら企画したのがこのオペラ。韓国に住む方子さんの元秘書らに話を聞き、台本を練り上げた。
 日韓併合後の政略結婚とはいえ、李垠(イウン)元皇太子と愛を育み、夫の死後は韓国で福祉活動に身をささげた方子さんに「在日女性として、シンパシーを感じる」とも語る。舞台では当時、婚礼で着用された宮廷衣装のレプリカを身にまとう。
 「朝鮮半島と日本は自分にとって、生きるうえでのテーマであり歌い続ける原動力」。この作品が相互理解の一助になることを願っている。【明珍美紀】


201406毎日新聞

Chon Wolson officilal Website www.wolson.com