日韓の名曲一堂に 「ふるさと」「アリラン」 来月11日、新宿でガラコンサート
企画の田月仙さん「W杯、歌で祝砲を」
「ふるさと」「アリラン」「イムジン河」…。日本と朝鮮半島を代表する名曲の数々が、日韓両国の歌手の熱唱によって巡り合う−。サッカーW杯日韓大会を目前に控えた来月、東京で、こんなコンサートが開かれる。
韓国では戦後、長らく日本語の歌が禁止され、大衆文化が段階的に開放された現在でも、CDの発売などは認められていない。一方、日本でも韓国や北朝鮮の曲はあまり知られていないのが実情。「イムジン河」など、政治的な配慮から、“表舞台”から遠ざけられていた名曲もあった。
だが、日韓共同開催のW杯を機に、両国の文化交流が急速に進み、映画やオペラ、演劇などさまざまなジャンルで、両国共催のイベントが実現。両国の大衆文化の「垣根」が取り外されようとしている今、「日韓の歌でW杯を盛り上げ、ともに喜び合える祭典としたい」(実行委員会)として、コンサートの開催が決まった。
実行委の中心となった田さんは、日本で韓国の歌を紹介したり、韓国や北朝鮮でも、公演を行っている。日韓両国の“橋渡し役”としての思いは強い。
田さんの呼びかけに、韓国を代表する指揮者の金徳基さん、日本からは指揮者の栗田博文さん、ソプラノ歌手の釜洞祐子さんらが応じ、演奏は東京都交響楽団が担当することに決まった。
こうした大がかりなコンサートは初めてだけに、関係者は楽譜集めから開始し、歌手らは相手国の歌を歌うために懸命にその国の言葉の歌詞を覚えた。ハイライトでは、日韓両国語の歌詞によるテーマ曲が両国の混声合唱団らによって会場に響き渡る予定だ。
予定されている曲はほかに、「荒城の月」「われは海の子」「トラジ」「懐かしい金剛山」など。このコンサートのために、新たに編曲された日韓歌曲による約二十分間のメドレーも披露される。
産経新聞社