【ソウル29日共同】在日韓国人のソプラノ歌手、田月仙さんが二十九日、ソウルで記者会見し、韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)双方の歌を収録したCDを同日から韓国内で発売すると発表した。
「高麗山河わが愛・イムジン江」と題されたCDはすべて韓国語で、全十三曲を収録。民謡「アリラン」のほか、北朝鮮の「イムジン江」、韓国の「懐かしい金剛山」、在米と在日の韓国人が統一への願いを込めて作った「高麗山河わが愛」が収められている。
「イムジン江」は南北分断の悲しみを南北を隔てて流れる川の流れに託して歌った名曲で、日本でも有名。田さんは一九八三年のデビュー当時から歌い続けている。
「祖国は朝鮮半島、故郷は日本」と話す田さんは、もともと朝鮮籍。八五年には平壌の音楽祭で歌ったこともあり、親せきも北朝鮮にいるが、九三年に両親の生まれ故郷である韓国籍を選択し、日本を拠点に朝鮮半島の平和と統一を願って音楽活動を続けている。
田さんは「南北首脳会談や離散家族再会のシーンを見ながら、涙が止まらなかった。和平の雰囲気の中、祖国の地でCDを発売できてうれしい」と話している。