日韓の名曲ふんだんに 李朝王宮復元テーマに音楽劇 /東京

 日韓の声楽家や演劇集団、舞踏家たちが共同して作り上げた創作音楽劇「あの丘を越えて。」が十九日、新宿の東京グローブ座で上演された。中心は、オペラ歌手の田月仙さんと演出家の金守珍さん。在日二世の二人は「二〇〇二年に予定されているサッカーのワールドカップ(W杯)の共催で、日韓交流のムードが盛り上がっている。この機をとらえ、新しい文化交流の形を実現させたかった」と話す。二十日も上演される。

 旧朝鮮総督府庁舎を撤去して進められている李朝の王宮復元を題材に、現代演劇とオペラが混在する不思議な舞台だ。「さくら」に「アリラン」、「荒城の月」と「鳳仙花(ほうせんか)」。過去に日本で放送禁止となった歌曲「イムジン江」、九八年に田さんが韓国で歌おうとして許可がおりなかった「夜明けのうた」……といった具合に、日韓の名曲がふんだんに盛り込まれた。

 演出は金さんが担当。オペラ界からは田さん(ソプラノ)と田代和久さん(バリトン)に、韓国の「ソウル・フィルハーモニック・オペラ・コーラス」の面々が参加。舞踊家の大川妙子さん、金さん率いる劇団「新宿梁山泊」も出演した。内容もメンバーも、まさに「異質なもの同士のぶつかりあい」だ。