ソプラノ歌手田月仙さん歌曲を自主制作でCDに

 

南であれ北であれ、いずこに住もうと、みな同じ愛する兄弟ではないか-

 

こんな歌曲「高麗山河わが愛」を在日韓国人二世のソプラノ歌手、田月仙(チョン・ウォル.ソン)さん=東京在住=が自主制作でCD化した。田さんは一九九四年十月、韓国・ソウルでオペラに出演した。同行したフリーの映像作家が市内の民芸パブで二十曲ほど録音し、帰国後に聞かせてくれた。その中に、韓国内でひっそりうたわれていた「高麗山河わが愛」があった。すぐにソプラノの音階に合せて編曲し、譜面を作った。自分の悲しみや怒り、願いにぴったりだからだ。

田さんはもともと朝鮮籍だった。八五年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の舞台でうたったことがある。しかし、ヨーロッパ留学のためのビザ取得などの理由で九三年、韓国籍に変えた。

「北でうたえば在日に南系の人に、南でうたえば北系の人たちによく思われない。分断の歴史が、同胞の心までも引き裂いしまったのです。」

九五年春、東京のリサイタルで初めてうたった。在日一世の人たちが、涙を流しながら聴いてくれた。統一の願いを込め、ことあるごとに歌い続けたが、作詞・作曲者はノ・ガンウク)さんということしかわからなかった。

音楽仲間のつてでワシントン在住であるこがあり、今年四月に対面した。五○年代に韓国からアメリカに渡ったノさんが、二十年ほどたって、故郷への思いを託して作った歌だった。

CDは四月に田さんが公演したロサンゼルスでのライブ盤。ノさんが田さんのピアノにあわせて口ずさむところも入れている。