歌でたどる解放５０年　在日韓国・朝鮮人グループが５０曲披露

 　在日韓国・朝鮮人たちが手を携えて、祖国の解放五十年を歌で振り返るコンサートを三十日に中野区で開く。南北の隔てなく、朝鮮半島で愛唱された曲をたどる初の試みだ。（略）

　コンサート「五十曲の歌でつづる解放五十年音楽の夕べ」は、みんなに愛唱されてきた曲を、背景の説明を交えて、時代を追いながら歌っていく構成。いわば歌でつづる在日韓国・朝鮮人の心の歴史だ。

　童謡から始まって、次に出てくるのが日本統治時代によく歌われた「アリラン」。「イムジン江（ガン）」は一九四八年（昭和二十三）に南北分断された時期にはやった。復興期に歌われた六一年の「黄色いシャツ」は、今でも韓国ではカラオケの人気曲の一つだ。近年のシリーズでは、「釜山港に帰れ」など日本でもなじみの曲が登場する。

　音楽監督は、オペラ歌手の田月仙（チョン・ウォルソン）さん（３６）が務める。田さんは日本生まれの二世で、韓国、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）それぞれで舞台にあがったことがある。歌うのは、日本で活躍している演歌、民謡、ポピュラー、クラシックのプロ歌手十三人で、アマチュアも加わった合唱団員四十人が共演する。

　田さんは、「曲目のなかには、それぞれの国で歌うことが禁止されているものもあります。対立を越えようという今までになかったコンサートで、力が入ります。歌を通して祖国は一つということを訴えたい」と意気込む。

　実行委員長の金さんは「私たちは南北の対立を乗り越えようとしています。日本の人たちと共生していくために、日本のみなさんに私たちのことを知っていただきたい。朝鮮半島の戦後史にも耳を傾けて下さい」と呼び掛けている。

　「音楽の夕べ」は三十日午後五時から中野区中野二丁目の中野ゼロホールで。大人