チョン・ウォルソン(田月仙) ソプラノ リサイタル 薔薇物語
1997年10月13日[月] 紀尾井ホール 開場 PM6:30 開演 PM7:00
出演者
「二期会会員」東京生まれ。桐朋学園短期大学芸術科・同研究科卒業後、東京での連続リサイタルで楽団にデビュー。「フィガロの結婚」「ネジの回転」「道化師」「サロメ」「カルメン」など次々とオペラの主役を演じ”水仙の花が咲いたようなスター性”と話題を呼ぶ。一方でコリア歌曲やスペイン歌曲、ロシア・アバンギャルドなどでも独自の解釈と表現が高く評価される。今回の東京公演に先立ち5月にソウルで行なわれたリサイタルでは”胸を打つ名唱” ”・・・舞踊も披露し、声楽家への既成概念を覆す驚くべき才能”と絶賛された。
米ジュリアード音楽院作曲家卒業。「弦楽オーケストラの詩曲」でベンジャミン賞。リンカーンセンターのタリーホールこけらおとしに作品を委属されるなど、ニューヨークで作曲家としての活動をはじめる。以後、作曲と演奏双方の仕事を通し、音の現場から現代を見つめつづけている。今年は国立劇場11月(声明)公演の委属作品を作曲の予定。なお「薔薇物語」は1988年の作品。
1980年からスペインおよびヨーロッパ各地でソリストとして公演活動。1991年マドリード市主催のフラメンコ・コンクールで外国人としてはじめて優勝。日生劇場の「バルセロナ物語」の振り付け、サルスエラ「ラ・パロマの夜祭り」の作・演出などを手がける。
天津音楽院卒業。天津歌舞劇院の民族交響楽団主席担当員。NHK、テレビ朝日、テレビ東京の番組や東芝情報通信のCMに出演。ウィーンフィル響、Fモーガン、服部克久、谷村新司、渡辺香津美、若林忠宏なども共演。
東京芸術大学付属高校作曲家卒業。創作オペラ「十五夜物語」が新宿文化センターで上演されるなど作曲家として活動するだけでなくピアノ・編曲などジャンルにとらわれない多方面で活躍を続けている。
[顔]芸術祭の音楽部門に外国人として初参加するオペラ歌手 田月仙さん
チョン・ウォルソン 東京生まれの在日韓国人2世。83年にオペラ歌手デビュー。二期会会員。39歳。
◆国を超えて心一つに
二年前、文化庁芸術祭の参加資格が、日本人以外にも開放された。それ以来二人目、音楽部門では初めての外国人となる。
「十四年間に及ぶオペラの舞台やコンサート活動が評価されたんでしょうか」
平壌とソウルで公演した最初の在日韓国人として知られる。一九八五年、招待を受けた平壌の世界音楽祭では、六〇年代に日本から帰国船で渡ったいとこと再会、「まさかもう一度会えるなんて」と胸を詰まらせた。カルメンを演じた九四年のソウルでも、両親の故郷・慶尚南道に住む親族と初めて対面した。
「私も南北と日本に分かれた離散家族の一人」を強く実感するとともに、世代を超えた反響の大きさに、「統一」を夢見る同胞の熱い思いをひしひしと感じたという。
「引き裂かれてしまった人々の痛み、統一への願いを、歌と踊りに託したい」
この思いが、ひと味違ったステージ演出につながる。
あす十三日、東京・千代田区の紀尾井ホールで開く芸術祭参加のソプラノリサイタル「薔薇(ばら)物語」では、自らのフラメンコ舞踊も交え、世界六か国の花にまつわる歌曲を原語で歌いあげる。
国際色豊かな舞台には、「音楽を通して国境の壁を超えましょう」という歌姫の願いが凝縮している。
売り物のドラマチックな表現力で、「見る人の心に残るリサイタルにします」。
Chon Wolson officilal Website www.wolson.com